巻き添え

 AmazonPrimeでコラテラルという映画を見た。リムジン・サービスの会社を持つ夢に向かって仕事に励むタクシードライバーの主人公マックスが麻薬組織に雇われた殺し屋ヴィンセント(トムクルーズ)を客として乗せてしまい事件に巻き込まれていくのだが...というあらすじの映画である。印象的だったのは映画開始から半分くらいで後部座席のヴィンセントから運転席のマックスへ投げかけられる、親は自分の欠点を子供の中に見いだしてその欠点を咎めるんだよ、というセリフだった。たとえ子が親にどんなに正しいことを言っても親からそれがまさに親の欠点に見えてしまったら子はどうしようもない。むしろ親から言われる注意は代々受け継がれる一族としての特徴として前向きにとらえるべきだったと今更ながら感じてしまった。

ニュースを見ていると行動がどうしようもないことの連続で決定されていくのを思い知らされ自分に出来るのは手洗いうがい外出の自粛しかないと感じる。新生活が始まる今になって望んでいない未来が待ち受けていたらどうしようとか、もっと楽してなんとかなったのかもしれないだとか、求人の広告に出てくるあの会社やこの業界だったら今どんな気分だっただろうとか、どうしようもないことをもう一度考えさせられる。コラテラル(=巻き添え)で生きていく上で大切なのはなぜ今これを行うのかと自問することだ。そうすることでしか自分のポジションは生まれず前にも進めない。