鉄道オタク

金曜日の夜10:30くらいの東海道線に乗ると、カメラを構えた人が電車のなかをうろうろしていらのが見えた。どうやら珍しい電車を撮る鉄道オタクらしい。肩から黒いカメラをぶら下げている。本当はホームや電車内でお目当ての電車を待ち伏せしてはいけない。いけないのだが、撮りたいものはしょうがない。本当はいけないのだが。そんなことを思っていると、目の前に男が現れた。グレーのパーカーにショルダーバック、靴は水色のクロックスの男である。彼はドアの前でぶつぶつと何かを喋っていた。通話しているのか?と思ったが、どうやら独り言のようだ。独り言を呟きながら、スマホで隣を通過する車両を撮影している。

目の前の男は次の駅で降りた。彼と私とで、そんなに年の差はないだろう。鉄道を撮ることのどこら辺がそこまで面白いのか。そして、何が挙動不審な彼を作り上げるのか。少し仰々しい言い方だが、そんな疑問を浮かべた。金曜の夜の電車には本当に色んな人がいる。そして彼のように、文字通り周りの目を気にせず、何かに没頭できることが少し羨ましい。